マージナルマン

マージナルマンの活動日誌

#1 「100分de名著」サルトル 実存主義とは何か

「100分de名著」

NHKの「100分de名著」というシリーズで古典文学や哲学書の内容を把握しようと意気込んでおります。 ホントは原著で読んだ方が良いのだろうけど、原著で読めるほどの体力も能力もありません。 何も読まないよりはマシということで、「100分de名著」シリーズを読んでいこうと思います。 読み終わって興味があったら原著を見てみます。 「100分de名著」すら疲れた時は、漫画でわかる名作〜的なのにするかもしれません。それくらいゆるくやっていくつもりです。

サルトル 実存主義とは何か

動機

貴重な(?)第一回はサルトル実存主義とは何かを読みました。 実はもともとレヴィストロースに興味があり、野生の思考を読んでみようと思ったことがきっかけこれを選びました。(これも「100分de名著」シリーズにあります。)

レヴィストロースのwikipediaを読んでいると,

1962年の『野生の思考』の最終章「歴史と弁証法」においてレヴィ=ストロースは、サルトル実存主義を強烈に批判した。このことから、実存主義に対立し、それを乗り越えるものとしての構造主義という思潮が、ときには過剰なまでにもてはやされる契機となった。

と書いてあったので、先にサルトルから入った方がより内容を楽しめそうだなと思ったからこちらを読み始めました。

なぜレヴィストロースに興味があったかというと、読んでいた別の雑誌に、レヴィストロースの「はるかなる視線1」の以下の引用があり、そこに興味を覚えたからです。

創造活動が盛んだった時代はコミュニケーションが、遠く離れた相手に刺激を与える程度に発達した時代であり、それがあまりにも頻繁で迅速になり、個人にとっても集団にとってもなくてはならない障害が減って、交流が容易になり、相互の多様性を相殺してしまうことがなかった時代である。

自分は最近SNSをほとんどやらなくなった(facebookはアカウントを消し、instagramはやっておらず、twitterも遠い知り合いに連絡を取る時のみ開くくらい)のですが、そんな自分を後ろ立てしてくれるような理論を展開していそうだな、と思ってレヴィストロースを読みたいと思いました。

こうやって動機を言語化すると、どうやら自分は誰かに自分の行為を肯定されたいだけなんだなと感じて大変気持ち悪さを感じています。

内容

動機だけで長くなってしまいました。内容について考えたことをまとめます。理解が正しいかはわかりません。都合よく捉えてしまっているかもしれないです。

「実存は本質に先立つ」

結論から申しますと、自分はサルトルの「実存は本質に先立つ」という言葉に勇気づけられました。 なぜならこれは、人間は人間として一括りにできる性質がなく、例えば、お前は人間として最低限これができないといけないとか、こうでなければいけないというのからは自由である、というステートメントであるからです。

「実存」というのは、この世界に現実に存在するということ。他方「本質」とは目には見えないもので物の場合ならばその物の性質の総体を指します。 ペーパーナイフの例がわかりやすいです。ペーパーナイフは本質が実存に先立っています。というのも、ペーパーナイフはその製造法や用途、すなわち「本質」を知らずにペーパーナイフという物「実存」を作ることができないからです。どうでもいいですが、これはオブジェクト指向に似ていて、メンバ変数や関数を集めたクラスが「本質」であり、そこからできるインスタンスが「実存」と捉えることができると思いました。

話を戻しますと、ここでの議題は、人間はペーパーナイフのように作られるかです。仮に神が存在して、人間を作ったと考えればペーパーナイフと同じことになります。人間とはどのようなものか、という本質から人間の実存が作られるからです。しかし、サルトルはそのような神の存在を否定し、「人間はまず先に実存し、世界内で出会われ、世界内に不意に姿を表し、その後で定義されるもの」だと言います。これが「実存は本質に先立つ」です。

すなわち、「人間は後になってはじめて人間になるのであり、人間はみずからつくったところのものになる」という意味です。

自分はこの部分を聞いて励まされた気持ちになりました。社会は我々に色々期待してきますが、それら全てを実現する必要はなく、無視したいものは無視していい。自分の「選択」した行為によって自分を定義して良いんだ、ということを明示的に述べてくれたのは大きいです。

(むしろ、人間は各個人の「選択」よってのみそれぞれが定義される、自由の刑」に処せられているとも言えます。ここには「責任」の概念が関わってくるのですが、そこは今回は省略します。面白かったのでもしかしたらまた書くかもしれません。)

感想

ホントはもっとたくさん書きたいことがありますが、気合入れて書きすぎると次へのハードルが上がってしまいそうなのでこれで終わりにします。